EUROPE VIEW ヨーロッパの風景

ヨーロッパの風景europe view

気の向くまま『デンマークの今』を探して at Copenhagen 2019.6

デンマークで見直されている木造建築イメージ1 デンマークで見直されている木造建築イメージ2 デンマークで見直されている木造建築イメージ3
デンマークで見直されている木造建築
近年ミュージアム等で目にしていた木組み建築が今本格的にスタートしました

住宅から大規模建築まで持続可能性に焦点をあてたコンサル会社 Holmsgaard a/sを訪ねました。古い建物をまるごとリノベーションした美しくモダンなオフィスで働く約30人と挨拶を交わしながら各部署を案内して頂き、美味しいおもてなしと共に現在取り組んでいるプロジェクトやデンマークが考える最新の持続可能な建築についてHenrik Holmsgaard社長直々に貴重なお話を聞かせて頂きました。

まずは、何故木造なのか・・・、現在目にする建物はほとんどが煉瓦建築のデンマーク、持続可能というワードが世界的に注目される近年その先進国デンマークでは木に注目が集まっています。木は数十年毎に『伐採したら植える』というサイクルにより成長に必要な二酸化炭素を地球上から削減してくれる頼もしい自然素材、建築的に見ても工期の短縮や費用の削減、つくりやすさ、フレキシブルなプランニング等、大きな可能性を秘めています。国連のグローバル目標(持続可能な開発目標 SDGs)の中でも、『住み続けられるまちづくりを』という項目があり建築に木材を使うことは大変有効だと考えられています。

全ての人々が快適に暮らせる街づくりを目指しUR都市機構と自治体が新しいカタチの賃貸住宅を考えるコンペが行われ、Holms Gaard他4社で結成されたチームが見事優勝を果たしました。その賃貸住宅(日本でいう県営住宅)は郊外にある未開拓の土地にローコスト住宅を建築し低所得者向けの賃貸住宅を建設するというもの。県が農地を住宅地として開発許可し道路や自転車道、学校、商店、公園などを整備しながら新たなコミュニティーをつくっていく、戦後の復興と成長を目的として掲げられた都市開発計画コペンハーゲン・フィンガープランは今も着実に進められています。

私たちはこのミーティングの後コペンハーゲンから西へ車で40分ほどの所にあるRoskilde郊外で進行中の建築現場を案内して頂くことになりました。構造は全て木造CLT(Cross Laminated Tinber)を採用、ローコストと言ってもそこはデンマーク、基礎には40cmのスタイロフォーム、壁には29cmのロックウールを外張り断熱しています。『何よりも断熱が大切』デンマークでは皆んな口をそろえて言いますが、今回も社長がまず最初に発した言葉でした。中に入ると構造丸出しの壁や天井はデンマークらしくホワイトオイルで仕上げられ、間仕切り壁はなく入居者が希望するところで仕切りまた出る時には外せるようアイデアを出し合いながら工事が進められていました。住宅の規模は一戸115㎡以下、価格は年間にdkk1100/㎡以下と決められているとのことですが、ざっと計算しても決して安くはありません。構造から仕上げに至るまで多くの木材が使われ木製サッシ(アルミクラッド)仕様です。

デンマークでは今、環境・経済・社会の面から全てを満たす天然素材『木』が見直され新たな可能性を求め動き始めています。国土の3/4が山林である日本の大きな問題ともなっている林業の今後に、このデンマークの取り組みが何か参考になるかも知れないと感じながら見学させて頂きました。

PHOTO GALLERY

  • デンマークで見直されている木造建築サブイメージ1
  • デンマークで見直されている木造建築サブイメージ2
  • デンマークで見直されている木造建築サブイメージ3
  • デンマークで見直されている木造建築サブイメージ4
ヨーロッパの風景一覧に戻る
NAVIGATION